果てしなく続く敵のウェーブに立ち向かうスワーム、新旧の構成を織り交ぜてお祝いするペングパーティー、熾烈なタイトル争奪戦が繰り広げられる幻のアリーナのゴッドなど、ゲームモードにはさまざまな形式のものがあります。 

URFのようにメインゲームをパワーアップさせたり、LoLのチャンピオンをオートバトラーやブレットヘブンのような全く新ジャンルに登場させることも可能です。多彩なゲームモードが展開される忙しい1年が順調に進んでいる中、今回はスワームについて、開発チームがこのモードをどう考えているか、そしてそれがプレイヤーと開発者にどのような影響を与えうるのかについて少しお話ししたいと思います。 
新しく、斬新で、(できれば)とても楽しいもの

「ゲームモードの価値は、リーグ・オブ・レジェンドを体験するさまざまな方法を生み出すことです」スワームのデザインリードを務めるAugust “Riot August” Browningはそう語ります。「ランク戦が大好きなプレイヤーもいれば、ランダムミッドが好きなプレイヤーや、ノーマル戦を好むプレイヤーもいます。LoLには、大規模かつ多様なプレイヤーベースが存在するため、モードはさまざまなタイプのゲーム体験を求めるプレイヤーに応えるのにうってつけなのです」

LoLの15年の歴史において、私たちはスノーボールやスターガーディアンといったあらゆるものをフィーチャーしたモードをお届けしてきました。しかし、数年前から、LoLにおける新モードの開発はペースダウンしました。 

「2023年にアリーナをリリースする以前、私たちはプレイヤーに新しい斬新な体験を提供できていない際のエコシステムがどのようなものであるかを目の当たりにしました」LoLのゲームモードのプロダクトリードを務めるEduardo “Riot Cadmus” Cortejosoはそう語ります。「ゲームのモードが不足していることをプレイヤーにはっきり指摘されてしまったのです。この時期において、私たちは新しいマップやゲームプレイ空間を提供し、今のLoLにはない独自の魅力やルールセットを持ったゲーム体験を作り出す必要があることを理解しました。このことから、小型のマップでプレイするアリーナの開発に注力し、異なる操作方法を持つ全く新しいジャンルであるスワームを制作することになったのです」 
 

ラボでの開発が少し進んだ時点でのアリーナのアップデート済みマップ
ラボでの開発が少し進んだ時点でのアリーナのアップデート済みマップ


「各ゲームモードを検討し、LoLのエコシステムで楽しめることの限界をさらに押し広げるため、“安全な実験の方法”を探しています」スワームのプロダクトリードを務めるSope “Riot Sopebox” Mayはそう付け加えます。「モードの​​基礎として研究開発タイプのゲームをリリースするつもりはありませんが、時間が経つにつれて次第にゲームを改良していける方法を模索中です。まさに今のアリーナが好例です。私たちはまずモードを公開し、プレイヤーがこのモードで楽しみたい要素を確認してから、ラボでの開発を再開しました。それを長期間維持できるようにすることが、私たちの目標です」 

LoLでの実験について摸索する時には、シンジドの狂気に満ちた実験のように進めるのではなく、ハイマーディンガーのように、しっかりとリスクを計算したうえで行いたいと考えています。新たなモードをリリースしていくにつれて、プレイヤーの皆さんがLoLにおいてどんな体験を求めているのか理解できるのです。 

学びながらの開発

リリース時のLoLは競技性の非常に高いゲームでした。今後も頂点を目指すプレイヤーの皆さんのために、そのような選択肢を保っていきます。ですが、LoLは初期に想定していたものよりもはるかに多様なプレイヤーベースを得ることになりました。あるモードが、私たちの学習の場となったのです。 

「LoLの最初の数年のころには、ランダムミッドから非常に多くのことを学ぶことができました」とAugustは語ります。「サモナーズリフト以外の、競技性がそこまで高くない舞台でLoLのような体験をしたいという声があることが、ランダムミッドのおかげでわかりました。ランダムミッド、ノーマルゲーム、ランク戦、あるいはアーフでのスキル連発。プレイヤーの皆さんが求めるこのゲームの遊び方は幅広いものです。 

15年ほどのLoLの歴史の内、ランダムミッドは11年間常に遊べるようになっていました。まだ4年しか経っていないワイルドリフトのように、後からリリースしたゲームにおいては、チームは複数のモードに目を向け、ゲームの主要プレイヤー層を理解しようとしてきました。 

「ゲームモードが重要な理由は2つあります」ワイルドリフトのプロダクトマネージャーであり、今年前半に「破滅」モードに携わったYunfei “Riot Vegetabird” Feiはそう語ります。「第一に、ゲームモードによって新コンテンツを追加し、ゲームに活気を取り戻すことができます。第二に、ゲームモードは大きな変更点をテストする絶好のステージとなってくれます。サモナーズリフトで何らかの変更を行うことを考えている時や、主要なゲームシステムを変更するときなどは、まず重大性の低いゲームモードでそのような変更の影響をテストできます。こうすることで、全体的にゲームにもたらすべき変更であるかを確かめ、どのように実装するべきか、詳しく調査できます」
 

シャドウアイルの亡霊 - ワイルドリフトの「破滅」イベントにおいて主役となるカリスタ
シャドウアイルの亡霊 - ワイルドリフトの「破滅」イベントにおいて主役となるカリスタ


今夏、アリーナのオーグメントをランダムミッドにもたらすモードがワイルドリフトに登場します。アリーナの2v2ではなく、5v5を舞台とした時にオーグメントのパワーレベルがどうなるのか目にするのを、開発チームも楽しみにしています。仮説:ペンタは多ければ多いほど楽しい?

ゲームモードの中には自ら独立して恒久的なものとなったり、主要なゲームプレイループについて教えてくれるものもあったりと、開発体験において大きな価値を提供してくれます。 

「TFTはもともと、ゲームモードのひとつでした」とチームファイト タクティクスのシニアプロダクトマネージャーのChristina “Riot Xtna” Jiangは言います。「この数年にプレイしてくれたプレイヤーの皆さんのおかげで、最近5周年を祝うことができました。TFTが独自のゲームモードを持ち始めた時には、大きなマイルストーンに到達できたと感じられました」 

5周年記念のころには、チームは複数のゲームモードをリリースしました。最初は「チョンクのお宝」で、セトが★★★になるとゲーム中ずっとスクワットする姿を見ることができました。その後、「ペングパーティー」で思い出の旅に出ることとなり、懐かしの特性が「インクボーン フェーブル」のメタと合わさりました。 
 

チョンクでさえ食べきれないほどたくさんのケーキ
チョンクでさえ食べきれないほどたくさんのケーキ


「ペングパーティーでは、プレイヤーが選んだアニバーサリー特性に基づいて新しい構成に切り替えるために必要なゴールドとアイテムを確実に得られるようにしたかったんです」とXtnaは言います。「通常のモンスターをカップケーキとパーティーガニに置き換えて、プレイヤーに戦利品を提供し、十分なゴールドを手元に置いてアニバーサリーを楽しめるようにしました。」

このような高ロールに優しいモードは、多くのTFTプレイヤーがゲームを楽しめる方法を反映しているだけでなく、ランクキューでのより制限された予算によって生まれる追加の戦略の余地も残しています。同時に、これらはTFTの年間3セット制にも役立つものであり、開発チームが先を見越して作業できるようになります。 

「TFTが進化する中で、いつまでも変わらないのはTFTプレイヤーの新しいコンテンツへの欲求です」とXtnaは言います。「だからこそ年間3セットに移行し、各セット中に新しく斬新な体験を提供するためにイベントに投資しているのです。この絶え間ない進化こそがTFTの最大の魅力であり、プレイヤーがゲームに参加する際に求めているものです。」 

TFTは確かにゲームモードの価値をプレイヤーに示していますが、すべてのモードがそのジャンルのトップになることを期待しているわけではありません。しかし、そうなってくれたらそれで構いません。 

PvPとPvEのバランス

一般的に、ゲームモードは2つの主要なタイプの体験に分けることができます。そしてどちらも達成したい目標に応じて価値のあるものです。 

その一方で、純粋にPvEのストーリーテリングモードがあります。例えば、「炉床の家の心」は、オーンの工房でのポイント&クリックパズルを通してオーロラを紹介しました。また、ワイルドリフトの最近のアドベンチャー「破滅」では、カリスタのストーリーを通して戦いました。これらのモードはルーンテラの世界に命を吹き込みますが、すべてのPvEモードと同様に、その体験が提供できるものには限度があります。 
 

オーンは見た目ほど不機嫌ではない(いや、やっぱり不機嫌かも?)
オーンは見た目ほど不機嫌ではない(いや、やっぱり不機嫌かも?)


「PvEはつまるところリプレイ性に限りがあります。コーディングできる敵の数や語れるストーリーには限界があるのです」とSopeboxは述べます。「しかし、PvPのリプレイ性は無限大です。『LoL』のようなゲームのリプレイ性を、『ゴッド・オブ・ウォー』のようなゲームと比較することはできません。両者は全く異なる体験であり、どちらも独自の良さがあります。」

「新しいゲームモードを考える際、誰をターゲットにするかによってすべて変わってきます」とCadmusは説明します。「すべてのゲームモードが長期継続プレイ向けに設計されているわけではありません。そういった目的で設計する場合は、それを念頭に置いて設計します。最近のその良い例は、アリーナです。これは無限にリプレイ可能であることを目指して設計されています。そのため、今年も復刻したのです。」

一方で「炉床の家の心」は、数時間のユニークな体験によって新しいチャンピオンと古いチャンピオンにまつわる物語を深く知れるように設計されたものです。アリーナも炉床の家も、その目標を達成しました。プレイ時間とリプレイ性に関して、スワームはこの2つのモードの中間に位置します。 

「スワームのリプレイ性については多くのことを考えました」とAugustは述べます。「何時間もプレイしても、また戻って達成できる要素がたくさんあるコンテンツをどうしても作りたかったのです。とはいえ、スワームはある程度やり切ることができるように設計されています。コツコツとプレイしていけば、すべてのレベルをクリアし、すべての実績を達成して、ある意味で終わりを迎えます。しかし、10~20時間の充実した体験であれば、それでいいのです。そして、もしプレイヤーがこのモードを気に入ってくれたなら、将来のバージョンでリプレイ性を高める考えはたくさんあります。」 
 


アニマ部隊とバレットヘブンの共演

スワームが登場してからしばらく経ち、多くの人がすでにアニマ部隊といくつかのミッションをこなしています。このモードの内容をここですべてネタバレする気はありませんが、簡単にまとめると、これは「協力プレイ+PvE+アニマ部隊+バレットヘブン」です。

「サバイバル系バレットヘブンジャンルが大好きな方や、フレンドと『LoL』を別の形でプレイしたい方にぴったりのモードです」とAugustは言います。「『LoL』のチャンピオンでそういったジャンルのゲームをプレイするという妄想が、ついに実現しました。このゲームモードの魅力は、『LoL』の核となるゲームプレイとは全く異なるユニークな体験をプレイヤーにお届けできることです。さらに、フレンドと遊ぶ新しい方法ももたらします。フレンドグループがランク/ランダムミッド/ノーマルの好みで分かれていても、スワームは一緒に『LoL』を体験する新しい方法を提供します。」

スワームは『LoL』を楽しむすべての人にも、何年も離れていた人にも合うように工夫されています。アニマ部隊を4つの新しいマップに配置してストーリーを展開し、さらにブレットヘブンを長年遊んでるプレイヤーにとってもチャレンジングな難易度のレベルも用意しています。しかし、スワームのメインは、アニマ部隊の夏イベント期間中に、フレンドと『LoL』の世界をよりカジュアルに楽しむ方法を提供することです。 

「より気軽に『LoL』の協力プレイをする方法を提供するだけでなく、この夏イベントを大きく盛り上げることが目的です。」とCadmusは付け加えます。「オデッセイやスターガーディアンのような、プレイヤーが何年も覚えているような瞬間を作ることを目指しています。スワームもそのようなプレイヤーの心に深く刻まれる体験にしたいと考えています。」

アリーナとスワームの成果に満足していますし、これらが今後の可能性を広げてくれたと感じています。それと同時に、ハイマーディンガーのように働き続けて、新しく、斬新で、(できれば)楽しい未来の体験を作り出したいと思っています。